準備じゃない、刀を研げ! ~激論対談の舞台裏~

この10月、母校のOB祭で、
「激論対談」なるものにパネラーとして登壇する機会があった。

司会者は「田原総一朗」氏。

パネラーは、元ソニーCEO「出井伸之」氏、前文科省大臣「下村博文」氏、
早稲田大学総長「鎌田薫」氏、前衆議院議員「金子恵美」氏、
テレビ東京アナウンサー「森本智子」氏と、そうそうたる顔ぶれ。
かなりアウェイ感(^^; のある中で、会は始まった。

テーマは「働き方改革から子育て、教育改革まで」
日本の将来展望を語る、というもの。

 

パネラーとして登壇の依頼を受け、夏前から少しずつ準備を始め、
結局、直前にはなったが、以下のようなことを進めていた。
・企業の働き方改革実践事例のインタビュー
・専門家への教育改革内容の取材
・各種関連データの収集・整理
・登壇者情報の収集・整理

 

服飾アドバイザーの1デイレッスンを受けたり、
当日はプロのメイクも施してもらった。

 

データを読み込む中で学んだことも多かった。
「数値変化」は「構造変化の鏡」なのだと感じたり、
切り口でいくらでも「印象操作」はできるものだと思ったり、
実数値を知ることで大事だと思っていたことの優先順位が変わったりと、
改めて受け売りでなく、自分で考えることの大切さも実感した。

 

登壇に際しては、事務局からパネラーそれぞれに
10問ずつの「想定質問」が配られていた。
各々の立ち位置から「これを話してほしい」という設問だ。
私には、「様々な業種の会社に研修をしている立場から、最近の日本の雇用に
おける課題・問題点はどんなところだと思うか?」「従業員は働き方改革が進む中、どのような備えをし、また自分のキャリアや生活にプラスになるよう活用していく
べきか?」など、かなり大きな設問が与えられ、頭をひねった。

うんうん言いながら、自分なりに答えの出ない答えを考えた。

さて、当日。
右隣に出井氏、左隣に下村氏、というド緊張な中、
パネラー紹介はなく、いきなり本題。
出井さんへの質問の次に「“想定外”の質問」が来た。
一瞬にして、頭が真っ白。
しどろもどろに答えたが、
会場からは「わからねーぞ!」と威勢のいいやじが飛ぶ。


90分、あっという間だった。

実感したことは2つある。

 

1つ目は、刀を研ぐということ。

田原総一朗さんの多彩なご発問に、
なかなか頭の回転がついていかなかった。
一方で、そのことによって、
「準備」ではなく「日々刀を研ぐ」大事さを思い知らされた。

データを集めたり、人に話を聴いたり、
それなりに「準備」はしたが、それは自分の意見なのか?
叩かれないための「予防線」を作るのではなく、
そこを超えて自分の意見にしていくことが大事だ。
登壇者は、どんな角度の質問にも自身の意見を語っていた。

 

2つ目は、登壇者の発言の潔さ。

もちろん視座の高さや、本質的なことを語ること、
物事への深い洞察、新しいことに敏感であること、
いろいろ感じることはあったが、
一番インパクトがあったことは
「思っていることを堂々と語る」という極めてシンプルなこと。

「自分の思ったことを話す」なんて、あたりまえのことのようだが、
日々、小さな怖れをもって話をしている自分がどこかにいる。
公の席になればなおさらだ。

人は、それぞれがもっと思ったことを堂々と言い、
「大きく生きていい」のだと、
そんなことを実感した時間。

 

チコちゃんじゃないけど「ボーっと生きてんじゃねーよ!」と
自分自身にハッパをかけられた、激論対談の90分 (^^)。