今年は、部下育成をテーマにしたコミュニケーション研修が多かった。
その中でも「褒める・叱る」は、永遠のテーマだ。
気持ちが動く分だけ、相手の受けとめ方を慮るだけではなく、
自分の気持ちの処し方にも戸惑いがでる。
この頃は特に、「叱る」に課題感を持つ人が多い。
研修内で、エピソード語りをすることがあるが、
30代半ばを境に、若い人は、叱られた経験がない、という声が多くなり、
40代以降では褒められた経験がないという声がでるのが興味深い。
皆さん、さまざまな叱られ経験を語ってくれる。
- できなかった時に、アドバイスもなく報告書をやぶられた。
もう二度と質問をしないと思った。 - 上司が何かしら問題を見つけて、「**くん、これどういうこと?」と
毎日ねちねちと言ってきた。言われることはもっともで反論できず、
すっかり疲れてしまった。といったしんどい経験。 - 必死でやった仕事だったが、最後の連絡をもらし問題になった。
「惜しいなあ。これまでの苦労が台無しだ」といわれ、自分自身が悔しく、
ふがいなかった。それ以来、最後の詰めを慎重にやるようになった。 - 大失敗をやらかした時、責任をとってくれた上司が
「私も過去に失敗をしたことがあります」と、言ってくれた。
今度こそ、と思い必死で頑張った。
という、仕事の杖となった叱られ経験もある。
今年はじめて「評価」にトライした会社。
はじめての評価会議に、社長とマネジメント陣が顔をそろえる。
各部マネジャーより、部下の評価内容と、その理由が発表される。
社員一人ひとりについて、質疑応答が繰り返される。
なぜ、Aでもなく、Bでもなく、Cなのか?
評価基準に対し、ここが足りない、ここがひっかかる。
でも、Cは低すぎるのではないか? 云々。
協議は4時間に及んだ。
最後まで、じいっと聞いていた社長が叫ぶように声を出した。
「Aにしてやってよ!」
え? 一瞬、場が固まる。
「・・・もちろん、今すぐということではありません。
みんな、これからうちを背負って立つ人たちじゃないか。
成長さしてやってよ!来年には、みんなAをもらえるようにしてやってよ!」
社長の、心からの願い。
頬を張られた気がした。
マネジャーはそこまで本気で、部下に関わっていただろうか?
この場を仕掛けた人間として、私はそこまで本気でマネジャーに
関わっていただろうか?
今年一番の、叱られ経験。
あなたはちゃんと、叱られてますか?